蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

Trip to Hakodadi (1):翻弄の初日 前篇

はじめに

 現在、ゴールデンウィークを利用して函館に滞在中です。函館を滞在地に選んだのは、一言で言えば衝動ですね。せっかく札幌に住んでいることだし、この機会を活かしてゴールデンウィークには北海道のどこかを旅行しようかな。どの街に行こうか。待てよ、道南・道央はゴールデンウィークに桜が見頃を迎えるとテレビで聞いた。一年の間に二度も桜を見ることができる機会なんてそうそうない。桜の名所に行くことにしよう。とりあえず函館だ!……と安直に計画を立て、気付けば札幌から函館までひとっ飛び。これから何回かに分けて、函館旅行記を書いていきます。ご笑覧ください。

「札幌の空の玄関口」丘珠空港

 札幌市交通局・地下鉄東豊線の北の終着駅・栄町駅から10~15分ほど西に歩くと左手に見えてくるのが、札幌丘珠空港という小さな空港です。札幌の知り合いから「丘珠空港、めっちゃショボいですからね。函館に行くなら普通はクルマだと思うんですけど」などと散々な言われようだったので変に期待していましたが、実際使ってみて思うのは「ショボい」というよりは「徹底的に無駄を省いた」と表現する方が妥当ではないかということです。

 それもそのはず、元々丘珠空港陸上自衛隊丘珠駐屯地の専用飛行場であり、1961年になって民間との共用を開始したという経緯を有しています。今も丘珠空港には陸上自衛隊丘珠駐屯地が隣接していますので、栄町駅から丘珠空港まで徒歩で向かうと必然的に警衛勤務中の自衛官から鋭い視線を向けられることになります。だからバス移動やマイカー利用が奨励されているのか! 早く言ってくれ!(たぶん違う)

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 さて、3階の送迎デッキから滑走路側を眺めると、随分小さな飛行機が待機していました。北海道エアシステム(HAC)のプロペラ機だ! プロペラ機に乗るのは人生で初めてなのでにわかに気分が高揚します。先程とは別の知り合いからは「めっちゃ揺れるんで気をつけてくださいね」と忠告を受けたので、こちらも期待が高まりますね。5月3日13:50発のプロペラ機(座席36席!)で、いよいよ函館へテイク・オフ!

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函館空港到着

 14:30に函館空港に到着。丘珠空港からの全体所要時間は40分。あっという間です。あっという間なのですが、このプロペラ機だとせいぜい1時間が関の山かなと思いますので、ちょうどいいのかもしれません。私がプロペラ真横の座席に座っていたからかもしれませんが、お尻から背中にかけて電マを当てられているような感覚が続いて落ち着かなかったですし、高度が下がる時もブランコを漕いでいる時のような気持ち悪さがありました。成田⇄福岡、成田⇄那覇LCCで移動するのが苦にならない私でも、あの揺れは未経験だったので少々面食らいました。これも慣れの問題かしら(次のプロペラ機搭乗チャンスは未定)。

 なお、函館空港で面白いと思ったのは、案内板にロシア語表記があったことです。英語、韓国朝鮮語、中国語が並んでいても特に驚きませんが、ロシア語は一瞬オッと思いますよね。やはり北の大地は一味違うということでしょうか。新千歳空港の案内板はバタバタしていてちゃんと確認できなかったので、今度東京に用事で行く時にでも見てみます。

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天使の聖母 トラピスチヌ修道院

 函館空港からシャトルバスで10分ほど。小高い丘の上にその女子修道院はあります。厳律シトー会「天使の聖母 トラピスチヌ修道院」、通称「天使園」(Kloster Tenshien)。函館旅行、最初の目的地はここです。

  トラピスチヌ修道院(The Trappistine Convent)は1898年4月、函館・上湯川に創立された日本初の観想女子修道院です。1913年10月までにレンガ造りの本館正面棟および聖堂が落成しましたが、1925年10月に発生した火災で焼失。現存する本館および聖堂は、1927年7月までに再建されたものです。

 トラピスチヌ修道院が建つ上湯川は函館の中心街から離れた自然豊かな場所で、「祈り、働け」(ora et labora)をモットーとする厳律シトー会が修道院を構えるには相応しい土地であると言えます。しかし、厳冬が容赦なく襲いかかる函館で、当初はたった8名のフランスから派遣された修道女によって女子修道院が創立されたというのですから、草創期の並々ならぬ苦労が偲ばれます。

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 さて、敷地内はちょうど桜が満開を迎えていました。一年に二回も満開の桜を楽しむことができる贅沢を噛み締めました。4月上旬の「まだこの程度では終わらない」という予感は的中したわけです(白々しい発言)。やはり桜は青空がよく似合います。湿気のない、爽やかで穏やかな春の昼下がり。これで一見さんの観光客がいなければ、もっと心穏やかに過ごせたのに!(自分を棚に上げた発言)

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 旅人の聖堂(2000年落成)。祈りの場である聖堂内部は撮影禁止となっていたため、外観のみをカメラに収めました。聖堂内部には祭壇も備え付けてあり、グループでミサを捧げることもできます。

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 大天使聖ミカエル像。悪魔を踏みつけ、剣でとどめを刺さんとしています。

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 修道院本館。レンガ造りの建築とレリーフが美しいです。

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 修道女を垣間見る……というシチュエイション。どこぞの文学でありそう。観光客の汚いオッサン二人が「ここに泊めてもらって、尼さんに相手してもらいてぇな」などと会話をしていたのが耳に入って不愉快だったので、そういう下世話な感情はアングルだけで示せ!と思い、実践してみました(一言多い)。

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 高台から。環境客が写り込まないようにするのは大変です(以下、殆どの写真についても同様)。

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 丘の上に建つ聖堂。当然ながら内部見学は不可なので、聖堂と司祭館の外観のみをパチリ。聖堂ではいまもミサと7回の祈りが日々捧げられています。俗世に塗れた非キリスト教徒の私でありますが、たまには修道院の敷地内に足を踏み入れて、厳粛な気持ちになるのも悪くないかもしれません(不信心極まる発言)。

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函館市電でGO

  トラピスチヌ修道院からシャトルバスで10分ほど引き返し「湯川温泉電停前」で降車。自動車と並んで路面を走る函館市電に乗り込みます。路面電車に乗るのは2015年5月の富山訪問以来なので、気分が高まります(実は札幌市電は未乗)。始点の湯の川駅から乗るために少しだけ道を逆走しました。結構遠い。こんなことなら「湯倉神社前」で降車するんだった……。

 湯の川駅では野村證券のNISA宣伝マスコットがお出迎え。……ってなんでやねん! こうした函館感のない広告は野村證券にとどまりません。函館を走るバスが京成電鉄の広告でラッピングされていたり、札幌市内の大学(北海学園大学など)の広告が函館市電の車内に貼ってあったりします。全国の交通系ICカードが利用できるようになっているのも、函館がすっかり観光都市化してしまったからなのでしょうか。今回の函館滞在で、私は何度も函館という街の位置づけに思いを巡らすことになりました。これについてもおいおい書いていきます。

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 中央病院前駅で一旦降車し、宿泊するゲストハウスにチェックイン。その後、再び函館市電に乗り込んで十字街駅へ。駅の目と鼻の先にある函館市地域交流まちづくりセンターがお洒落ですね。このセンターは丸井今井呉服店函館支店(1923年落成、その後何度か増改築)を2007年から再利用したものです*1

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 そのまま西へ。この急坂を上っていくと、次の目的地である元町教会群が見えてくるのですが……。今回はここまで! 後篇に続きます。

この坂を上り切ったら

必ず見える景色が好きだって

背中に羽を持つあの子も言って笑ってた

佐咲紗花FEEL×ALIVE」より)

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Appendix

 恒例のマンホールの蓋蒐集カツドウ。函館のマンホールは、五稜郭と旧函館区公会堂があしらわれた爽やかなデザインでした。

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www.hakobura.jp

*1:なお、この建物は1970年から2002年までは函館市役所末広町分庁舎として利用されていました。