蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

Welcome to Hokkaido (3):散策 中島公園

前回のおさらい

rasiel9713.hatenablog.com

 本連載を最初から読みたい方はこちら

初心忘るべからず ~改めての御挨拶~

 “Welcome to Hokkaido”シリーズも、“Trip to Hakodadi”シリーズ(未完)のために中断を余儀なくされ、気付けば前回更新から1ヶ月が経過してしまいました。だんだん“Welcome to Hokkaido”感がなくなりつつある……と思われるかもしれませんね。実のところ、私も本連載を再開する目処がなかなか立っていませんでした。しかし、5月20日~21日にかけて所用で1ヶ月ぶりに東京を訪れ、人混みと蒸し暑さに辟易したことで気持ちが固まりました。新千歳空港に帰り着いた私を再び“Welcome to Hokkaido”の看板が迎え入れてくれたとき、私の“いま”の居場所はここ(=札幌)なのだと再確認できたのです。初めて新千歳空港の看板に「ようこそ」と出迎えられた初心に立ち返り、札幌初心者としてこの街をもっと知っていかなければならないと思いました。そんなわけで、“Welcome to Hokkaido”シリーズ再開です。

f:id:rasiel9713:20170521171143j:plain

札幌のオアシス 中島公園

 今回は大通公園・すすきのから更に南下して、中島公園に行ってまいりました。約21ha(東京ドーム約4.5個分)の面積を有する中島公園は水と緑溢れる、まさに札幌のオアシスで、紅葉の名所としても有名です(見頃は10月中旬~11月上旬)。2017年5月28日、天気は生憎の小雨ですが、それでは出発です。なお、中島公園の魅力については『たびらい北海道』の「達人指南 中島公園 緑と文化あふれる札幌のオアシス」という記事に詳しいので、併せてお読みください。

 地下鉄南北線中島公園駅から出発してすぐに突き当たるのが、しょうです。池の向こう側に見えるのは藻岩山。曇天なのが残念ですが、これはこれで落ち着いた佇まいではないでしょうか。こうして菖蒲池を眺めていると、都会にいることをすっかり忘れてしまいます。歓楽街・すすきのに隣接する形で自然公園が維持されているのも札幌ならでは。雨上がりの澄んだ空気が散歩を捗らせます。

f:id:rasiel9713:20170528143422j:plain

f:id:rasiel9713:20170528143454j:plain

 紅葉の季節に来たら菖蒲池も色鮮やかに彩られるのでしょうが、園内では季節ごとの花も楽しめるので、いつ来ても目の保養になります(と言いつつ、花の名前には詳しくない私)。また、園内には植物を一眼レフで接写している綺麗な女性の方もいましたが、通報されたくなかったので声はかけませんでした……。

f:id:rasiel9713:20170528143724j:plain

八窓庵

 子ども人形劇場「こぐま座」を通り過ぎて直進すると、日本庭園に行き当たります。この日本庭園の中にひっそりと佇むのが八窓庵です。八窓庵は江戸時代初期の茶人・小堀遠州が長浜(滋賀県)に建てたと伝えられる茶室で、紆余曲折を経て1919年に札幌に移築され、改修を経て今に至っています。江戸時代初期の貴重な遺構に札幌でお目にかかれるとは思いませんでした。

f:id:rasiel9713:20170528144220j:plain

 私は滝やせせらぎの音が好きです。水の流れ落ちる音を聴いていると無心になると申しますか、日頃の雑念が洗い流されていくような感覚が心地よいのです。私はどちらかといえばインドア派だと思いますが、機会があれば「日本の滝百選」巡りをしてみたいと思う程度には、滝に不思議な魅力を感じています。

 ところで、滝の音を聴いていると尿意を催してしまう、なんて話があった気がしますが、私が滝の音にこだわるのは「おしっこマニア」(リンク先音量注意)だからではありません、あしからず。ともあれこの中に1人、妹がいる!は最高の櫻井孝宏アニメなので、是非ご覧ください。ミステリーを楽しむうちに、櫻井孝宏の妹になりたい人生だったと思えるはず。

f:id:rasiel9713:20170528144233j:plain

f:id:rasiel9713:20170528144242j:plain

※参考ツイート

 八窓庵の外観(内見は不可)。

f:id:rasiel9713:20170528144348j:plain

 紅葉の季節に来たらさぞかし美しかろう……と思わせるモミジのシルエット。

f:id:rasiel9713:20170528144425j:plain

豊平館

 さて、八窓庵が佇む日本庭園に隣接するのが、白とウルトラマリンブルーのコントラストが爽やかで優美な印象を与える豊平館です。今回の中島公園散策も、親戚から「豊平館はいいぞ」(大意)と勧められたのがきっかけでした。

f:id:rasiel9713:20170528143927j:plain

 豊平館開拓使による洋造ホテル建築の貴重な遺構です。1880年11月に竣工した後、明治天皇北海道行幸あんざい所として1881年8月30日に開館、1885年には宮内省の所管となり、1922年に宮内省から札幌市に下賜されました。1958年に北1条西1丁目から中島公園内に移築され、2012年3月まで市営結婚式場として利用されました。そして、4年にわたる改修工事を経て2016年6月20日に新装開館し、現在に至っています。

 なお、豊平館正面中央部のアーチ状の屋根の上には、北海道庁旧本庁舎札幌市時計台と同様、開拓使の徽章である赤い五稜星が輝いています。私はこの徽章を目にするたびに札幌が開拓使の街であることを認識させられるのですが、開拓使の設置からおよそ150年が経過した現在、赤い五稜星は当初の意味を失ってすっかり札幌のトレードマークと化したかのような扱いを受けています。しかし、文字通り「開拓」の拠点を示していた徽章が、札幌ならではの記号として定着したのだとすれば、その過程にこそ明治新政府の支配体制を忘却させる政策が介在したと言わざるを得ません。札幌においては、現在も「中心と辺境」という構造が維持されているにもかかわらず、中心へ同化していくような空気感だけは醸成されていると感じます。この点について、札幌に住んでいる私の親戚が「札幌は運ばれてくる東京の空気を受け入れて発展したけれど、札幌発の何かというものはまだまだ少ない」とコメントしたのは印象的でした。開拓使による洋造ホテルが札幌市民の集いの場として利用されてきたという事実に、開拓使の爪痕の大きさを看て取るのは大袈裟でしょうか?

 いずれにせよ、豊平館が新装開館後初めて迎える春に立ち会えたのは感慨深いものがあります。豊平館は現在も貸室を行っており、洋造ホテルの遺構と現役の公会堂という二重の性格を有しています。こうした歴史と現在の交錯(または混濁?)が、札幌を「面白い」街として私に認識させて仕方ありません。

f:id:rasiel9713:20170528144011j:plain

f:id:rasiel9713:20170528144056j:plain 最後に、豊平館の内装写真を掲載して本記事を締めたいと思います。ゴールデンウィーク旧函館区公会堂を内見したときも思ったのですが、この手の広間は人で賑わっていないと画になりませんね。静まり返った大広間はまさに画竜点睛を欠いていると感じました。結婚式でもコンサートでも何でも構わないのですが、沢山の人で埋め尽くされ、賑やかな声が響いて初めて、豊平館には魂が吹き込まれるのでしょう。そんなことをぼんやりと思いながら、中島公園を後にした日曜の昼下がりなのでした。

f:id:rasiel9713:20170528145848j:plain

f:id:rasiel9713:20170528144951j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145013j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145032j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145139j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145240j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145255j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145449j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145524j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145625j:plain

f:id:rasiel9713:20170528145639j:plain

関連記事

nakajimapark.info