蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

Welcome to Hokkaido (4):笑撃/衝撃 札幌市南区

前回のおさらい

rasiel9713.hatenablog.com

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突然ですが、クイズです

 まずはこの写真を御覧ください。どこか分かりますか?

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 横一列に並ぶモアイ像。その傍らには謎の像も鎮座しています。

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 像の下には「人頭有翼の獅子像/今から2,000年前にエジプトの都市の城門や宮殿の入口に設置され 侵入して罵言を吐く悪霊を門前で撃退するための守護神である」というキャプションがついています。モアイ像を背にした統一感のなさに思わず笑顔になってしまいますね。外国人観光客らしき一団もゲラゲラ笑いながら記念撮影をしていました。それだけではありません。増長天の像もモアイ像を背にいかめしい表情で仁王立ちしています。もはや意味が全く分かりませんが、とにかく邪気を払いたい!という気持ちだけは伝わってきます。

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 ……もう皆様おわかりですね。ここは札幌市南区にある真駒内滝野霊園です!

 ※BALI TOWER的な面白スポットではなく、人々が埋葬された霊園です。

花と緑の墓地 真駒内滝野霊園

 というわけで、札幌で大雨警報が発令された2017年7月16日の翌日(海の日)、愛車のTOURING SEROWで真駒内滝野霊園へ行って参りました。札幌の中心部から車で40分ほど走れば、景色はすっかり山道です。この日の午前中も大雨注意報が発令されていたため、乾燥路面ではなく内心ヒヤヒヤでしたが、制限速度を守りつつ霊園に無事到着しました(自動車に煽られたのはご愛嬌)。

 真駒内滝野霊園が所在する札幌市南区は、札幌市の10区中最大の面積を誇る区で、豊かな自然に恵まれているのが特徴です。平岸通りを南下して陸上自衛隊真駒内駐屯地近くの交差点を左折、五輪通から水源池通へ抜けると、市内とは思えない緑の別世界が待っています。通り一本隔てれば大自然が広がっている。都市と自然が隣接しているのは札幌の大きな魅力の一つですね。

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 さて、真駒内滝野霊園が節操のないモニュメント設置を行っているのは何故なのでしょう。真駒内滝野霊園のウェブサイトには、次のようにあります。

真駒内滝野霊園が1981年の開園以来めざしてきたのは、この豊かな自然を生かした、宗旨宗派を問わずどなたでもお墓を建立していただける『明るい聖地』。

霊園の概要 | 真駒内滝野霊園

真駒内滝野霊園は宗旨宗派を問わない霊園のため、前掲写真のように「なんでもあり」の状態になっていると理解してよいのかしら……。また、入口から少し奥に進むと永代供養墓が併設されたストーンヘンジまで建っている始末で、神仏習合シンクレティズムも腰を抜かすカオスがここにはあります*1。そして極めつけは、ラベンダー畑の向こう側に見える大仏の頭です!

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 この石像大仏はあたま大仏だいぶつと名付けられています。2006年に頭大仏が造立され、その後2016年7月には真駒内滝野霊園開園30周年事業として、頭大仏を取り囲む拝殿が完成しました。頭大仏殿は建築家・安藤忠雄の設計・監修によるもので、拝観のしおりによれば「みなさまの大切な御霊を見守る御顔を除いて、すべてがラベンダーの丘にいだかれる設計」となっているとのことです。

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 それでは、ラベンダーおよび施設の維持管理費300円を支払って、頭大仏の拝観に参りましょう。頭大仏殿の入口では三体の鎮墓獣がお出迎え(※チンポ獣ではない)。拝観のしおりには「中国では漢の時代から唐の時代にかけて、墓を守り悪霊を祓うために、獣型の木像、陶像を服装する習慣があり、これを鎮墓獣と呼びます」と書かれていますが、阿弥陀如来との「食べ合わせ」は大丈夫なのか気になります。なお、真ん中の鎮墓獣が『我が子を食らうサトゥルヌス』を彷彿とさせるのは気のせいでしょうか?

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 頭大仏殿の中へと歩みを進めていきます。

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 聖俗との結界を意味する水庭。拝観のしおりには「あえて迂回することで、水で心を清め、日常から非日常へと心を切り替えます」と書かれています。なぜか脳内BGMはポケモン赤緑のワタル戦前のBGMです(伝われ)。

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 長さ40mのトンネルの先に坐しているのが頭大仏です。拝観のしおりによれば、「天井に曲線を描くコンクリートがひだのように連なった薄暗い空間は、胎内的空間を表現しております」とのことです。

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 採光の効果で後光が指しています。素晴らしいデザインです。

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 頭大仏と御対面。高さ13.5m,重さ1,500tの阿弥陀如来像です。拝観のしおりには「参道入口からご対面までの百三十五メートルの道のりには、過去に敬意を払い、新たな祈りの世界を創造した安藤氏のこだわりが随所にこめられています」と書かれていますが、前述のトンネルが襞を持った胎内的空間なのだとすれば、参道とは「産道」でもあるのかもしれませんね。ママに干されてるオギャりヲタクは真駒内滝野霊園で心を清めるとよいのではないでしょうか

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 ともあれ、札幌生活の無事を祈って拝観終了。

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 モアイに始まりモアイに終わる。そんな大仏拝観ができるよ、札幌ならね。

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 それにしてもシュールな光景だ……。

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探訪 日本の滝百選 アシリベツの滝

 さて、この日のもう一つの目的地は、日本の滝百選にも選ばれたアシリベツの滝です。アシリベツの滝は、北海道唯一の国営公園である国営滝野すずらん丘陵公園の敷地内に所在しているため、公共交通機関ではアクセスが困難です(とはいえ、本数が少ないながらもバスがあるだけマシですが)。オートバイを手に入れたことで、tabitte的にはアクセスしにくい場所に自由自在に行けるようになったのは嬉しい限りです。真駒内滝野霊園から道道341号線を車で南下すること数分、念願の国営滝野すずらん丘陵公園に到着しました!

 国営滝野すずらん丘陵公園は395.7haという広大な敷地のため、入口を間違えるとアシリベツの滝に辿り着けません。アシリベツの滝の最寄り口は渓流口です(下掲全体図参照)。駐輪料金150円を支払って、滝へ徒歩で向かいます。

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 下掲写真のキャラクターはエゾモモンガの「きのたん」です。ふぁっ熊の漫画に登場しそうな目をしているな……(言いがかり)。

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 霧雨が降ってきましたが、「おしっこしたいの~、おしっこしたいんだよ!」と泣き喚く子供や、渓流釣りで釣った魚を調理しろ!とスタッフにゴネるカップルが面白くて、わざわざ来た甲斐があったなぁと思いました。

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 これでも札幌市内なんだぜ……。嘘みたいだろ……。

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 渓流口からのんびり歩くこと15分。とうとうアシリベツの滝へ到着です。

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 アシリベツの滝は落差26mの美しい水流……のはずが、前日の大雨のせいか、濁流の暴れ滝に豹変、荒々しい(穏やかじゃない!)姿を見せていました。左側崖の支流は水量が多い時に見られるようです。穏やかな姿を見られなかったこととトレード・オフかもしれませんね。動画は下掲ツイートをご参照ください。

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 帰り道、園内の焼肉ガーデン「あしりべつ」で滝野ジンギスカン生ラムおにぎりセット(1,450円)を食べてきました。至福のひとときです。実は札幌に来てジンギスカンを食べたのはこれで二度目。一度目は松尾ジンギスカンジンギスカン丼(調理済み)を食べただけでしたので、「本格的」なジンギスカンをいただくのは今回が初めてでした。思い出補正もあるかもしれませんが、ジューシーで美味しかったですね。おっと、文章を書いていたらまたお腹がすいてきました。さて、グルメを求めてひとっ走り行ってきますか!*2

 (2017年8月20日追記:続編を書きました。こちらからどうぞ)

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Appendix

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waltham7002.hatenadiary.jp

*1:永代供養墓が併設されているため、ストーンヘンジの近くに立ち入ることは禁止されています。むやみな写真撮影も控えることにしました。

*2:このタイプの〆が便利すぎて多用しているのは内緒。