蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

積丹・祝津・小樽 荒天ツアー(2):制覇 北海道三大夜景

前回のおさらい

 本連載を最初から読みたい方は以下のリンクからどうぞ。

rasiel9713.hatenablog.com

日本の渚百選 島武意海岸 ~奇岩めぐり~

 お食事処みさきでうに丼を堪能した後は、そのまま道道913号線を北上して島武意しまむい海岸へ。島武意海岸は日本の渚百選にも選定された海岸で、神威岬と並んで積丹ブルーを楽しめる2大スポットとして名を馳せています。 展望台へ続くトンネルを通っていくと、一体どんな絶景が広がっているのでしょうか!

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  長いトンネルを抜けると曇天であった。分かっていたことではありますが、天候の関係で島武意海岸の積丹ブルーは拝めず。それどころかポツポツと小雨が降り始め、私の全身をしっとりと濡らしていきます。ここで引き下がるわけにもいかないので、展望台から海岸へ続く細い階段を降りていくことにしました。

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 海岸へ降りる途中で見える山肌。お察しの通り、海岸へ続く道は急勾配の登山道さながらでありまして、昇降時に膝と呼吸器・循環器が痛めつけられます。この日もパンプスで来ていた子連れの女性が夫に「これ登山靴が必要なやつじゃん。これ絶対あとでやばいよ。失敗したぁ」と繰り返し文句を言っていて、「わかる~!」と言いそうになりました。これから訪れる方はご注意下さい。

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 島武意海岸は奇岩と断崖でも有名。世界よ、これが積丹だ(煽り文句)。

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 10分ほどかかって海岸に到着。尖った岩石がゴロゴロ転がっていて、サラサラの砂浜とは全く趣の異なるワイルドな海岸です。とにかく歩きにくく、足を踏み外して転んだら一大事なので、間違ってもパンプスで来る場所ではないですね。

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 磯の生き物採取をしている4人組の子供を発見。小雨が降る涼しい中でも半袖半ズボン! まさに子供は風の子です。なお、展望台への帰り道、ゼエゼエ言いながら階段を上っていたら、背番号10番の少年(ぽっちゃり体型)から追い抜かれざまに「疲れた?」と心配されたことも附記しておきます。

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 展望台からひときわ目立つ、あの岩場の裏にも回ってきました。自然の作る荒々しいパターンに圧倒されます。支笏湖の柱状節理を彷彿とさせる岩肌ですが、迫力でいえば島武意海岸の圧勝ではないでしょうか(韻を踏むスタイル)。

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 コケのようなものが繁茂している場所には海水が溜まっています。

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 信じられないことに、この気温と天候で泳いでいる人たち(ちなみに家族連れ)を発見。この写真を北海道の親戚に見せたところ、口を揃えて「えっ、嘘でしょ」と言っていたので「北海道あるある」というわけでもなさそうです。先日も銭函海岸で高校生が水難事故に遭ったばかりですから、改めてこの写真を見返すと、危険行為なのではないかという思いを抱かざるを得ません*1

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 ともあれ、雨が止む気配がなかったため、体力の消耗に鑑みてこれ以上奥へは進まずに引き返すことにしました。積丹岬まで踏破できなかったのは残念ですが、無理のない範囲で臨機応変に楽しむのも旅の醍醐味ということで一つ。

ちょっと寄り道 ~余市町白岩 えびす岩と大黒岩~

 すっかり雨ざらしになったTOURING SEROWの水滴を拭い、今回の宿泊所である小樽のゲストハウスへ向かいます*2。小樽へ引き返す道中、気まぐれで立ち寄った奇岩がありますので、ここで紹介します。

 奇岩の名前はえびす岩と大黒岩、別名夫婦岩です。島武意海岸からSEROWを走らせること1時間、国道229号線の連続トンネル区間でワッカケトンネルを抜けた直後に左折すると見ることができます。 小樽から来る場合は最初の梅川トンネルを抜けた後に右折して下さい。うっかり通過しがちですので注意が必要です。

 海沿いの立て看板には次のように記載されています。

ふたつの岩は安山岩の礫を含む火山円礫岩が波に洗われてできた岩体で、水中に噴出した溶岩が急速に冷やされて出来た岩を起源とします。

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 ヨッシーアイランドの根本が折れる足場を彷彿とさせる形ですね(伝われ)。

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 岩の上の鳥居がいつ設置されたのかは調べていませんが、確かにこの形状なら御神体と考えられても不思議ではない気がします。神威岩を見た帰りに是非立ち寄ってみてほしい穴場スポットの一つです。

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 なお、この日は白岩の海岸でもカヌー、海水浴、BBQを楽しむパリピを見かけました。寒くないのか……と割と引いたのは内緒です。

“山の日”は小樽天狗山ロープウェイ

 さて、積丹から小樽まで2時間かけて帰還し、16時過ぎにゲストハウスにチェックインを済ませた私は今夜の行動を決めかねていました。余市町白岩に着いた頃には雨も上がってはいたのですが、涼しい中での長時間走行ですっかり体力が奪われていたからです。チェックインの安心感からか、脱力して行動不能に陥ってしまったため、荷物を片付けてベッドで仮眠を取ることにしました。

 17時半頃に目覚めると、まだ雨は降り出していませんでした。既に翌日も一日中雨との予報が出ていたため、徒歩で行きにくいスポットに行く(=SEROWで走る)チャンスは今しかない!と思い立ち、体調万全ではないながらも見切り発車で出掛けることにしました。この日、最後のスポットに選んだのは小樽天狗山。8月11日は“山の日”ですから、小樽の霊峰(?)に登らないのは嘘でしょう!*3

 というわけで、小樽中心市街からSEROWを走らせること10分ほど。やってきました小樽天狗山ロープウェイ。 ロープウェイ(往復1,140円)で山頂展望台まで登り、北海道三大夜景の一つに数えられる小樽夜景を見てきました。

 小樽天狗山は中心市街の南西に位置する小樽のシンボルと言うべき山です。小樽天狗山の標高は532.4m。札幌の藻岩山(標高531m)より少し高いですね。

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 小樽天狗山ロープウェイは1979年12月に開業。山麓から山頂までの全長735mを約4分で結びます。この御時世にドアを手動で閉める仕様を貫いており、車内にハエ叩きが常備してあるなど、絶妙な田舎臭さがたまりません。採算が取れているのかは知りませんが、観光客への媚び売りを感じさせず、好印象です*4

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 小樽天狗山ロープウェイはミシュラン・グリーンガイド・ジャポン1つ星も獲得しています(改訂第4版現在)。停車時にガクンッと揺れて、乗り合わせたカップルの彼氏が「おい、何さらしとんねん!」とキレる程度の乗り心地が、グリーンガイドの「作り物ではない本物」という基準に合致したのかもしれませんね。

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 さて、ロープウェイで山頂に無事到着。刮目せよ、これが北海道三大夜景が一つ、小樽天狗山から望む小樽夜景だ! 北海道三大夜景とは、函館山から望む函館夜景藻岩山から望む札幌夜景小樽天狗山から望む小樽夜景の3つですから、今回の小樽夜景をもって北海道三大夜景制覇となりました。これら3つには三者三様の面白さ(裏を返せばつまらなさ)がありますが、函館夜景と札幌夜景については以前のエントリで詳しく論評したのでここではコメントを割愛します。

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 時刻は19:07。小樽中心市街から祝津方面、そして日本海を見渡せます。

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 時刻は19:10。積丹半島方面を望む。晴天の昼間に山頂展望台から積丹ブルーを見渡すのも素敵かもしれませんね。

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 時刻は19:11。小樽夜景はアメーバかナマコのような輪郭が面白いです。のっぺりしている札幌夜景よりも遙かに見応えがあります(※個人の感想です)。

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 時刻は19:18。少しずつ夜の帳が下りていきます。

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 山頂の天狗山神社。夜はライトアップされて幻想的な光景が広がります。

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 杉江仙次郎像と松川嘉太郎像。両名についてはこちらのエントリをどうぞ。

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 時刻は19:24。帰りのロープウェイからの一枚。夜景を楽しんでもらうため、ロープウェイの照明を消灯しているとは、なかなか粋なはからいでした。 

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 ゲストハウスへの帰り道、オーナーから紹介された小樽温泉オスパに立ち寄り、一日の疲れを癒やしました。しかし、ホカホカで帰ろう……と思って退館した私を待ち受けていたのはなんと土砂降り。大粒の冷たい雨が降りしきる暗闇の中を走り抜け、なんとかゲストハウスに帰還した頃にはずぶ濡れになっていました。温浴が完全に無意味になってしまいましたが、もう限界寸前だった私はそのままベッドに倒れ込み、ドタバタの三連休初日が幕を下ろしたのでした。

 二日目に続きます。

コラム ~小樽とあんかけ焼そば~

 この日の夕飯は中華食堂 桂苑のあんかけ焼そば(800円)。オーナーから勧められた本気マジというラーメン屋が閉まっていたので、ガイドブックにも掲載されている桂苑に行き先を変更しました。桂苑は2016年11月に創業50年を迎えた老舗で、小樽あんかけ焼そばの草分け的名店です。小樽天狗山へ向かう前の腹ごなしとしては無難なチョイスですね。こういうところで冒険は要りません。

 小樽とあんかけ焼そばの関係は深く、あんかけ焼そばは戦後間もない頃から、繁華街で買い物をした後に家族で食べるメニューとして普及していきました。昭和30年代に入り、「中華料理 海月」の五目あんかけ焼そばの大ブレイクを経て、あんかけ焼そばは小樽のご当地メニューとして定着しました。現在小樽市内には80店を超えるあんかけ焼そばの提供店があるそうで、あんかけ焼そばはまさしく小樽市民のソウルフードと呼ぶに相応しい一品でしょう。

 小樽といえば寿司という向きもあるでしょう。ここであんかけ焼そばも食の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。あんかけ焼そばは贅沢なメイン・ディッシュでもなければ、珍味やB級グルメの類でもありません。しかし、小樽の市井の人々に長く愛されてきた素朴な味は、旅行と日常が混じり合うような静かなひとときをあなたに与えてくれるはずです*5。オススメです。

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blog.goo.ne.jp

hokkaido-labo.com

www.tabirai.net

*1:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170828-00010001-doshin-hokを参照。なお、島武意海岸が遊泳可能区域なのかは確認していません。

*2:ゲストハウス宿泊はGWの函館旅行に続き二回目でしたが、今回は初めて民泊仲介サイトのAirbnbを利用しました(函館旅行の時は楽天トラベル経由での予約でした)。訪日外国人が増加の一途を辿る昨今、楽天もTujiaとの提携を発表するなど何かと話題の民泊でありますが、実際に使ってみないことには何も言えないと思い、折角の機会なので利用してみることにしました。今回利用したのはゲストハウスなので利用客のプライバシーはないようなものでしたが、廉価でオーナーから現地情報を貰えたり、バックパッカーや利用客と交流を持てたりするのはホテルにはないゲストハウスの魅力だと感じました。勿論一室/一見貸し切りの物件もありますので、ガヤガヤした雰囲気や雑魚寝が嫌だという方は物件を選べば快適に過ごせるはずです。また、ライブなどの催事での遠征時にホテルが取れないという問題がありますが、ホテルが埋まっていても民泊は空いているというケースも多いので、カプセルホテルやネットカフェに加えて民泊という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。Airbnbが謳う「暮らすような旅」を今後も見極めていきたいと思います。

*3:実は当日何も考えておらず、後から振り返った時に「山の日に山に登っていたことになるのか!」と一人でショックを受けたのは内緒。

*4:小樽天狗山ロープウェイは函館山ロープウェイと好対照をなしています。人口が流出して衰退している港湾都市という点では小樽と函館は似ていますが、函館が観光都市として“洗練”されていったのに対して、小樽は観光都市ながらも田舎臭さを残しているように思います。ロープウェイ一つ取っても、小樽天狗山ロープウェイは飾らない小汚さを維持しており、そこに“小樽らしさ”を感じます。

*5:なお、小学校時代を小樽で過ごした私の母があんかけ焼そばの存在を知らなかったのは内緒。