蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

胆振 珍道中(1):苫小牧経由で東室蘭へ ~潮風と木漏れ日と田中将大~

はじめに

 どうも。3週連続で雨模様だったため、今夏の北海道ツーリングの思い出をブログで振り返ることしかできないRasielです。

 さて、2017年8月19日~20日にかけて、鉄と石油の街・室蘭に行って参りました。前週とは打って変わって爽やかな青空が広がる行楽日和の土日。こんな時に出掛けずにいつ出掛けるんだ! そう意気込んでSEROWに跨りました。

 実はこの週、当初は富良野ツーリングを計画していたのですが、宿を取ることができず、目的地の変更を余儀なくされました*1。「フン、カップルやオシャレ女子の集まるインスタ映え*2スポットに一人で行っても仕方ない」と強がりつつ、第二の目的地として選んだ街が室蘭でした。

 室蘭を目的地に選んだ理由は観光地として渋そうという直観です。地元の観光情報サイトが充実していたのも決定打となりました。札幌中心市街から室蘭までは約130kmの道のり。だいたい東京~日光くらいの距離感です。今回のツーリングでは室蘭市街に到着するまでに色々寄り道をしましたので、胆振いぶり地方(下掲地図参照)のグルメや景勝地も紹介しながら道中を振り返っていきます。

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出発の朝 ~二度目の支笏湖へ~

 前週の積丹・祝津・小樽 荒天ツアーで、ナンパの対価として体温と健康を奪われた私。勤務先がお盆休みのない会社のため、発熱と体調不良を解熱鎮痛剤で抑え込みながら業務に臨むハメに(自業自得とはいえキツい)。さらに8月18日(金)には業務上必要な資格試験も控えていたため、業後は資格試験の勉強もしなければならず、なかなか大変な一週間を過ごしました(試験は無事合格)。

 そんなこんなで迎えた週末ですから、体調万全とは言い難い状態でした。ただ、朝6時に起きた時点で熱はなかったため、「とりあえず行けば元気になるだろ」と見切り発車を決めました。既に室蘭のホテルも予約済みで、行かないとお金がムダになっちゃいますからね*3。今回は高速道路を使わず、国道453号線から276号線に入り、苫小牧まで出てから国道36号線を太平洋沿いに西進するルート(下掲地図参照)を使います。まずは峠を突っ切って苫小牧まで行き、後述のマルトマ食堂でブランチをガッツリ食べる予定のため、朝食はウィダーinゼリーにとどめました。

 6:30過ぎに家を出発。札幌市街を南下して国道453号線に入ります。国道453号線過去記事でも取り扱った支笏湖への一本道。朝方の空は曇っており、峠は気温が15~16℃しかない状況です。夏装備で風を受けて走っていると、すっかり全身が凍えてしまいました。このままノンストップで苫小牧へ向かうのはしんどいので、一旦支笏湖の駐車場に停車してベンチで一休みすることに。

 時刻は7:50頃。ベンチで寒さに震えながら早くも室蘭行きを後悔していると、私の背中を押すかのように雲の切れ間から陽の光が降り注いできたではありませんか! 陽の光を受けていると、みるみるうちに身体が暖まり、元気が湧いてきました。不思議なものですね。さて、折角ですから1ヶ月ぶりの支笏湖ブルーを堪能していきましょう。

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 過去記事でも紹介した通り、支笏湖日本有数の高い透明度を誇る湖沼です。今回は山線鉄橋の下を流れる小川を例に、支笏湖の高い透明度をお見せします。

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 川底で揺れる草と水面に反射する木々が織り成すエメラルドグリーン。息を呑む美しさです。辛いことも沢山あった札幌出張でしたが、こうした絶景に1時間強でアクセスできる地点に住居を構えられたのは、得難い貴重な経験でした。

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苫小牧で腹ごなし ~マルトマ食堂名物 ホッキカレー~

 支笏湖の美しい光景に心洗われたところで、支笏湖から再出発。国道276号線に入ると、苫小牧の市街地に入るまでの16km区間がひたすら直線。ただでさえ、北海道の下道を走る自動車は内地の1.5倍から2倍くらいスピードが出ていますが*4、この終わりの見えない直線区間はスピードに歯止めがかからなくなる危険な区間でもあります*5。ただ、「天に続く道」には負けるかもしれませんが、走っていて爽快な区間であるのも否定できません。快調に16km区間を4速~5速で走り抜けて、苫小牧市内に入りました。苫小牧はライダーにとっての北海道の玄関口です。大洗からフェリーで北海道に移動するライダーは必ず苫小牧のフェリーターミナルに到着します。この日はお盆期間最後の土曜日ということで、苫小牧のフェリーターミナルに吸い込まれていくライダー達を沢山目にしました。私はお盆休みがなかったため、今日は往路なんですけどね……と思いながら帰路のライダー達を見送りました。帰るまでがツーリングだ! 最後までご安全に!

 さて、この日のブランチはマルトマ食堂で食べると決めていました。そのために朝から摂取量を調整してきましたから、お腹はペコペコ、準備万端です。 

 苫小牧港に面するマルトマ食堂では水揚げしたばかりの新鮮な魚介類を味わうことができます。オートバイを近隣の駐車場に停車して、9時頃にお店に到着すると既に長蛇の列ができていました。大人気コンテンツですね。また、ホッキ貝がhockeyのスティックを持っているパネルはベタで好感が持てます

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 待機列に並ぶこと30分。お店の中に入ると、まず目に入るのは壁と天井を埋め尽くすサイン色紙の数々。これまで数多くのテレビ関係者がマルトマ食堂を訪れてきた事がよく分かります。取材の多さが料理の味を保証してくれるわけではありませんが、高まる期待を抑えられない私がいました。

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 数あるサイン色紙の中で、最も私の目を引いたのは田中将大のサイン色紙です。元楽天のマーくん、NYヤンキースのTANAKA(?)として知られる豪腕投手の田中ですが、高校時代は駒澤大学附属苫小牧高等学校駒大苫小牧野球部の一員でした。私もこのサイン色紙を観るまで田中の母校をすっかり忘れていましたが、サイン色紙を観た途端に早稲田実業斎藤佑樹との投手戦(2006年)の熱気が蘇り、在りし日の田中の姿が眼前でタチアガるような心地がしました。

 ※高校球児時代の田中のサイン色紙は掛け時計の右上です。

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 さて、待ちに待ったマルトマ食堂名物のホッキカレー(1,100円)です。今回はホッキカレー専用に改良されたガラナがついてくるセットを選びました。かなり量が多いので、食の細い人には完食が厳しそうです。それではいただきます!

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 注目すべきはホッキ貝の圧倒的な身の厚さです。苫小牧漁協組合では9cm以上のホッキしか獲らないことにしているとの事*6。一口頬張ると、濃厚なルーとホッキ貝の甘みが口の中に広がります。そして、ガラナの瓶をラッパ飲みすれば、甘さ控えめの炭酸で口の中がリセットされます。この無限ループ、侮れません。食べ応えのあるプレートをガンガン食べ進め、20分ほどでホッキカレーを完食! 今まで食べてきたホッキ貝は何だったんだ!? この幸せな体験を是非多くの方にもしていただきたい……。心からそう思います。

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ちょっと寄り道 ~樽前ガロー地区へ~

 満腹でマルトマ食堂を後にすると、時計の針が10時を指し示しました。朝早く出発した甲斐あって、チェックイン時刻の16時まではかなり余裕のあるスケジュールです。そのため、室蘭へ直行せずに寄り道をすることにしました。行き先は苫小牧の外れに広がる樽前ガロー地区(後述)です。

 さて、苫小牧から室蘭までは国道36号線をひたすら西進するルートを走ります。青空、オーシャンビュー、そして潮風。この3点セットが揃った状態で、湿度が低く快適な北海道の夏という気候条件が加わるのですから、最the高のツーリング日和としか表現しようがありません。苫小牧の市街地から太平洋沿いを走ること30分、右折して樽前小学校を通り過ぎ、暫く直進すると樽前ガロー地区と呼ばれる自然環境保全地区に辿り着きます。

 10:45頃に樽前ガロー地区の入口へ到着しました。樽前ガロー地区は途中から道路が舗装されておらず、凸凹の砂利道となります。オンロードバイクで砂利道を走行するのは危険です。こういう砂利道や林道こそSEROWのホームグラウンドSEROWをパートナーに選んで良かったと心から思える瞬間ですね(のろけ)。

 下の写真にある通り、樽前ガロー地区は1667年の樽前山噴火による火砕流堆積物が侵食されて形成されました。両岸の切り立った岩壁が種々のコケ類に覆われている独特の景観をなす、知る人ぞ知る絶景スポットです。

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 SEROWを駐車して、林の中へいざ出発。「あなたが来るまではとても美しかったと言われないようにしましょう」。いい標語です。排ガス規制で生産中止になったモデルを乗り回し、排ガスを撒き散らす私にグサリと刺さる言葉です。

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 樽前ガロー地区には三箇所の入渓ポイントがあります(末尾の関連記事を参照)。この日は当然ライディングブーツ装備でしたから、渓流の中へ入ることはできません。水際で何枚か写真を撮影しましたのでご覧ください。

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 自然の雄大さを否が応でも感じさせられる、文字通り荒削りの岩肌です。

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 別の入渓ポイントからの一枚。

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 「まるでジブリの世界!」と話題を集めた濃溝の滝の「奇跡の一枚」に負けず劣らずの光加減。はい、こういうのを自画自賛といいます。

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 雨垂れ石を穿つ、どころの騒ぎではありません。気の遠くなるような時間をかけて、このゴルジュ(峡谷)は形成されたのですね(山岳マニアに言わせれば、まだまだ若いゴルジュなのかもしれませんが)。

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 岩肌を近くで見ると、コケ類がフサフサと繁茂する様子がよく分かります。

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 林道を滝の方まで進むと、クマ出没注意の看板が! 途中で3名の散策者とすれ違いましたが、皆大きなクマ避けの鈴を身につけていました。準備万端の人達を見てしまったことで、丸腰の私は「いま襲われたら死ぬよね」と急に恐怖を覚えました。それにしても、苫小牧の市外局番なんて知らないので、電話番号を中途半端に書かれてもいざという時に連絡できないじゃん、と思いましたね。

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爆走 国道36号線 ~イタンキ浜で一休み~

 11時半頃に樽前ガロー地区を後にして、国道36号線に再び合流しました。この国道36号線が曲者でして、排気量の小さなオートバイ泣かせです。下の地図にいくつか例示しましたが、苫小牧から室蘭にかけての臨海地域はコンビナートになっているため、国道36号線は大型トラック・タンクローリー・ダンプカーがひっきりなしに行き交っています。しかも苫小牧の市街地を出れば殆ど信号機もありませんので、自ずとスピードが出ることになります。90km/h以上で走る大型トラックなどに頻繁に追い抜かれたり煽られたりするのはなかなかのプレッシャー走行です。室蘭到着後に地元の観光ガイドから国道36号線を走ってきたんですか。よく頑張りましたね。私は怖くてとてもじゃないけど走れないですもん」などと言われた時には、どんな区間だよ!と思わざるを得ませんでした。しかも噂には聞いていた通り、苫小牧や室蘭のドライバーは運転が全体的に荒っぽいので、それも恐怖感を増幅させます。きっちり車間距離を取って走行するという基本を守れば、大事故も抑制・回避できる筈ですので、過信しない運転を!

 潮風を受けながら白老を通り過ぎ、登別を通り過ぎ、東室蘭へ到着する頃には12時半を回っていました。白老だったか登別だったか、発生地点はよく覚えていませんが、走行中に甲虫(カナブン?)がヘルメットのシールドに衝突するというアクシデントもあり、少し時間をロスしたのは割とがっかりしました。甲虫の薄桃色の体液がシールドに飛び散って視界が奪われたため、道路沿いのセイコーマートに立ち寄って、ペットボトルの水とウェットティッシュでシールドを洗いました。昆虫との衝突はツーリングあるあるですが、まだまだ慣れません。

 さて、ホテルのチェックイン時間までは余裕があるので、先に太平洋沿いの観光地を堪能していくことに致しましょう。最初に紹介するのはイタンキ浜です。

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 イタンキ浜は、1986年に北海道で初めて鳴砂海岸であることが確認された海水浴場です。イタンキ浜の砂には石英の結晶体が含まれており、その上を歩くと砂同士の摩擦でキュッキュッと音がなるのです。閑散とした浜辺を音を鳴らして歩いているうちに、不思議と楽しくなってきました。あきばサンダルが売れるの、今なら分かる気がします。自分の幼児性を認めるのもいいものです(今更感)。

 (2017年11月5日追記:イタンキ浜は「日本の渚百選」にも選ばれています。北海道の「日本の渚百選」としては積丹ブルーの島武意海岸も有名です。)

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 コンクリートの階段に腰掛けて、一息つきながら思ったことがあります。

イタンキの 浜で子連れの ママ見れど

               つまみぐいなど オイタはだめよ

 初日後篇に続きます。

関連記事

dreamearth.jp

*1:富良野を日帰りで往復する強行軍は、なんだか勿体無い気がして止めました。

*2:既に死語になりつつあるのは気のせいでしょうか。「イマドキ」であり続けるために情報を不断にアップデートして、行き着く先はどこだというのでしょう。時代錯誤(anachronistisch)ではなく、敢えて反時代的(unzeitgemäß)でありたいものです。なお、Oxford German Dictionary, 3rd editionを引くと、unzeitgemäßはanachronisticと訳されているので、私の言い分は単なる言葉遊びかもしれませんけれど。

*3:無理して行って体調が悪化したら、キャンセル代よりも高くかかるという考え方もあります。私も基本的にこの考え方に賛同しますが、今回は早朝の時点で絶不調というわけではなかったので、ちょっと頑張ってみた次第です。皆さんも自分の体調と相談して週末を楽しみましょう!

*4:速度制限がなくなる区間では80km/hで走っていても、凄い勢いで追い抜かれることがしばしばありました。一体何km/h出しているんだ……と呆れながらスピードを落としたのを思い出します。人の振り見て我が振り直せ。安全運転で参りましょう。

*5:危険は対向車だけではありません。私がこの区間を走っていた当日、対向車が突然パッシングをしてきました。私は「うわっ、なんだ?」と思ってスピードを落としたのですが、すると少し先の木陰にパトカーが停まっていたのです! 所謂「ネズミ取り」でありますが、あのまま行ったら私も取り締まられていたかもしれません。きっと対向車は親切心で教えてくれたのでしょう。このような危険もあるので皆様もご注意下さい。

*6:http://marutoma-shokudo.com/hokki/を参照。