蛮族の本懐

Ne quid nimisというモットーに抗うための試み。

秋の山中湖で身も心も凍えた!の巻 ~失われしTwinBox FUJISANを求めて~

はじめに

 山中湖に行こう。そう思い立ったのは、以下の特集記事を読んだ時だった。

style.nikkei.com

 その昔(といっても2年前だが)、山中湖畔で2日間にわたってアイドルフェスが開催された。その名はTwinBox FUJISAN。名前から明らかなように、この野外フェスの主催はTwinBox AKIHABARA/TwinBox GARAGEであった。いずれも声現場に疲れたヲタクが辿り着きがちなキラキラ系ライブアイドルの主戦場として有名な箱だが、その割にはTwinBox FUJISANの出演者は様々な規模・音楽性のアイドルが集まっていて、公式の謳う「日本最大級のアイドルエンターテイメント野外フェス」は伊達じゃないと思わされる*1。私は諸事情でこの野外フェスに参戦することは叶わなかった。そのことが心のどこかにひっかかっていたのかもしれない。失われしTwinBox FUJISANを求めて、2年越しの山中湖行が今、始まる。

山中湖パノラマ台

 2017年11月3日、待ちに待った11月の3連休がやってきた。3週連続の悪天候で溜まりに溜まったフラストレーションを発散するには走るしかない。しかし、翌日の11月4日には永野愛理さんの学園祭イベントが控えている。日帰りで往復できる距離にいい場所はないものか。そうだ、山中湖があるじゃないか。そんな安直な考えで、よく調べもせずに下道をひた走ること4時間(+1時間ほどお昼休憩)、富士見スポットとして近年注目を集める山中湖パノラマ台に到着。出発したのが10時と遅く、3連休初日で甲州街道国道20号線)が渋滞していたこともあって、到着時には既に15時を過ぎていた。

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 今回は多摩市→八王子市→相模原市と通り抜けて、道志みち国道413号線)から山梨県に入るルートを使ったが、山梨県に入った途端に急に気温が下がったのには参った。日中で14℃という温度計表示が目に入り、冬装備を整えずに無謀なツーリングを敢行したことを少し後悔した。突き刺すような寒さで、空気感が全く違う。日が暮れるとその寒さはいっそう猛威を振るって、私の全身をガタガタ震えさせた。歯の根が合わず、首の筋肉が小刻みに震えてしまうため、焦点が定まらない+喉がカラカラの状態で夜の峠を走るのは二度とやりたくない。この時期の山中湖付近は深夜には0℃近くまで下がるらしく、あの夜の気温はいったい何℃だったのかと恐ろしくなる。私が下山後にワークマンの防寒着「イージス」を買おうと決意するまでに、さほど時間は要らなかった*2

 富士山頂に太陽が重なる現象をダイヤモンド富士と呼ぶらしい。以下の写真はただの逆光写真だが、うろこ雲の隙間から差し込む陽の光が富士山をシルエットの姿にする光景に、思わず溜息が出た(美しさ欠乏症)。秋のパノラマ台でダイヤモンド富士を拝めるのは例年10月18日~19日との事なので*3、来年以降に日没を狙って再訪すれば、いっそうフォトジェニックな光景を目の当たりにすることができるかもしれない。いずれにせよ、富士の裾野は紅葉の木々と薄で埋め尽くされており、目を楽しませてくれた。

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 逆光のため色鮮やかにお伝えできないのが少し残念だが、パノラマ台が富士山・山中湖・紅葉の木々を一望できるスポットであることは確かだ。機会があれば是非足を運んで欲しい。この日も3連休初日の割にはあまり混んでいなかったので、地味に穴場なのかもしれない*4

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 パノラマ台の紅葉。観光客は皆一様に富士山の方向を眺めていたけれど、灯台下暗しということもあるのではなかろうか。

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 夕陽と富士山をバックに相棒セローを撮る。なんてセクシーな躯体なんだ。

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 一台目なのに、相棒セローに乗れば乗るほど、こいつは「あがりのバイク」なのではないかと思えてくる。これからも相棒セローと一緒に素敵な思い出を沢山作っていきたいものだ。勿論、その思い出を共有する相手がいればなお素晴らしい。

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山中湖交流プラザ「きらら」

 さて、いよいよ本丸のTwinBox FUJISANの聖地(遺構?)である山中湖交流プラザ「きらら」へ向かうことにしよう。パノラマ台を下って左折し、山中湖沿いに相棒セローを走らせるとオープンスペースが見えてくる。それが「きらら」だ。

 まずは平野湖畔から逆さ富士を眺めてみた。この日も三脚を携えた撮影班が夕陽を今か今かと待ちわびていた。私が湖畔で一人写真を撮っていると、或る老夫婦から「いい写真撮れましたか? この後公園でライトアップがありますよ」と話しかけられた。特に返す言葉が見当たらず、「いやー、ぼちぼちですね。これから帰るところなので大丈夫です」と告げてその場を立ち去ってしまった。私にとっては写真よりもこの場所に来たという事の方が重要だったので、「インスタ映え」チェックのような発言に面食らったのだ。私も知らない人にいきなり声をかける時は細心の注意を払わねばならないと自覚した瞬間であった。

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 シアターひびき。TwinBox STAGEと題された一番大きな区画が展開された場所だ。富士山をバックに最大8,000人を収容可能という無駄に広いグリーンフィールド。そこに一人佇んでいると、急に感極まって松尾芭蕉になってしまった。

  夏草や 兵どもが 夢の跡

 「自分が参加していないイベントは存在していない」というヲタク理論(?)がある。ただの強がりと言ってしまえばそれまでなのだが、自分が参加できなかったイベントの跡地を訪れてみて、あながち強がりと切り捨てられないと感じた。確かにTwinBox FUJISANはもう終わったイベントで、追体験することはできない。しかし、嘗てそのイベントが開催された場所にいま私は立っている。目を瞑ると、行ってもいないイベントの様子が妄想として襲い掛かってくる。参加していないイベントに時を越えて参加させられてしまい、高揚感と悔しさがこみ上げる。この一連のエモーションの発露を「現場推しと人は呼ぶのかもしれない。イベントを存在しないことにするためには、物理的にも距離を取る必要があるのだ。沈みゆく夕陽の中で私は「後の祭り」を知った。

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 ちなみに、TwinBox STAGEが8,000人の観客で埋め尽くされることはなかったようだ(そりゃそうだ)。当時リツイートした現場レポをいくつか掲載する。

 行けるイベントには行った方がいい。そんな当たり前の事を静寂の山中湖畔で再確認した。なお、山中湖畔に三島由紀夫文学館徳富蘇峰という施設があることを後日知った。やはり旅行の前には綿密な予習をすべきだったと後悔した。「後の祭り」は排気ガスと共に去りぬ。気ままな旅を楽しむには、まだ私は人生経験が足りないらしい。勝負はオートバイに跨る前に決まっているのだ。

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結びに代えて

 今思えば、知り合いの声ヲタが山中湖に行っていたのは羨ましい限りである。

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www.entamenext.com

*1:それにしても、総勢150組以上の出演者の中で、どれだけのアイドル/ユニットが現役で活動しているのだろう。名誉共犯者(元NEXT少女事件のヲタク)としては、偶想Drop合法幼女症候群、CANDYIISTRIPE NEO、プティパ、月と太陽、熊田佳奈絵etc.といったメンツを観ていると、“あの頃のラウドル現場”に対する郷愁を抑えることができない。このような「伝わらない」表現を書き連ねていると、“あの頃のラウドル現場”なるものは一種の秘史の対象なのではないかと思えてくる。

*2:実は翌日の11月4日も東京電機大学鳩山キャンパスからの帰り道に土砂降りに遭い、2日連続で凍えるというイタい経験をしたことが「イージス」購入の動機となったのだが、話がややこしくなるので註で言及するにとどめる。

*3:http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/kikaku/fuji100/highlight/diamond.htmを参照。

*4:なお、山中湖交流プラザ「きらら」側は渋滞が起こっていたので、山中湖を訪れる観光客の絶対数が少なかったわけではないと思われる。